コラム

Acrobatを使って印刷用PDFをラクラク出力する方法

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印刷用データをPDFで出力することが当たり前になってきました。しかし、印刷用として作成されたPDFがそのまま出力できるとは限りません。このコーナーではAcrobat 8 Proを利用して、そのまま出力できるPDFに変換するためのノウハウを解説します。

有限会社インクナブラ
上高地 仁

第8回「フィックスアップでカラーを印刷用として自動変換する方法」

フィックスアップでPDFを自動的に変換する

Acrobat 8 Proに追加された機能の中でもっとも強力な機能が、プリフライトにある「フィックスアップ」の機能です。フィックスアップは、PDFデータを自動的に編集・加工する機能です。印刷工程ツールと異なり、作成したフィックスアップが含まれたプロファイルを実行すれば、自動的にPDF内のデータを編集したり、変換したりすることができます。

フィックスアップには印刷工程ツールで可能なことはたいてい含まれています。また、印刷工程ツールではできないようなことも可能です。たとえば、墨のオブジェクトをオーバープリントすることは印刷工程ツールではできませんが、フィックスアップでは可能です。

フィックスアップを使うメリットは、複数のフィックスアップをプリフライトに束ねることができるということです。複数のPDF編集・変換処理を同時にすることができます。つまり、印刷工程ツールで1つ1つ処理していたことがフィックスアップでは、一度に行うことができるようになっています。

プリフライトとフィックスアップを同時に行なうと、PDFをフィックスアップで変換した後のPDFをプリフライトします。したがって、両方を組み合わせることで、変換した後でエラーや情報としてリストされたプリフライトチェックを確認できます。

フィックスアップを作成するには、[プロフライト:プロファイルを編集]を開いて、プロファイルのリストを展開します。[フィックスアップ]を選択して、[このプロファイルのフィックスアップ]に実行したいフィックスアップを追加します。

●プリフライトにある[PDFフィックスアップ]

プリフライトでは、フィックスアップのみをセットしたプロファイルを[PDFフィックスアップ]カテゴリーにまとめています。これらのプロファイルを開いてフィックスアップの設定内容を確認すれば、Acrobat 8 Proで可能なフィックスアップ機能を知ることができます。

●プロファイル編集から[フィックスアップ]を選択する

[プロフライト:プロファイルを編集]にあるプロファイルのリストを展開して、[フィックスアップ]を選択します。プロファイルにロックが設定されていなければ、[このプロファイルのフィックスアップ]で「新規プロファイル」を選択すると、新しいフィックスアップを作成できます。[すべての使用可能なフィックスアップ]にあるフィックスアップを[このプロファイルのフィックスアップ]に移動することもできます。プロファイルには複数のフィックスアップを同時に割り当てることが可能です。

●新規作成した[プリフライト:フィックスアップを作成]ウィンドウ

「新規プロファイル」を作成すると、[プリフライト:フィックスアップを作成]ウィンドウが開きます。[フィックスアップカテゴリー]から[フィックスアップのタイプ]を選択すると、フィックスアップする内容が表示されます。印刷工程ツールではできなかった墨ベタのオーバーブープリント処理もフィックスアップで可能です。ベクトルデータとテキストデータを使い分けてオーバープリントできます。

「PDFフィックスアップ」でするカラーの変換

フィックスアップの大半は、印刷工程ツールのある[色を置換][透明の分割・統合]や[PDFの最適化]などの機能です。印刷工程ツールと同じように設定していくことで、PDFを自動的に編集・加工できます。

その中で、設定がすこし複雑なのは[色を置換]のフィックスアップです。印刷工程ツールと同じようにPDF内のカラーを変換することができます。印刷工程ツールの[色を置換]より、さらにきめ細かい設定も可能です。

印刷工程ツールでは、環境設定のカラーマネージメント設定を別途確認する必要がありました。しかし、フィックスアップでは環境設定で行う作業用スペースを[想定プロファイル]として指定します。環境設定には依存しないのです。「RGB」「CMYK」「グレースケール」の各プロファイルを想定プロファイルとして指定します。

変換先のカラースペースは[変換先]で指定します。CMYKに変換する場合、「Japan Color 2001 Coated」や「Japan web Coated (Ad)」などを指定します。ICCプロファイルが埋め込まれたカラーは、そのICCプロファイルのカラースペースから、埋め込まれてないカラーは[想定プロファイル]として指定したカラースペースから、[変換先]カラースペースに変換されます。

フィックスアップの[色を置換]を使うときの注意点は、1つのプリフライトプロファイルに1つしか[色を置換]フィックスアップを使うことができないということです。従って、カラーを変換するときは、すべての変換設定を1つの[色を置換]フィックスアップで指定する必要があります。

●「CMYK のみ (Japan Coated) に変換」のフィックスアップ

デフォルトで用意されたPDFフィックスアップにある「CMYKのみ (Japan Coated) に変換」フィックスアップを開きます。フィックスアップを選択して[フィックスアップを編集]ボタンをクリックするか、フィックスアップそのものをダブルクリックします。

●[色を置換]でICCプロファイルを埋め込む

[色を置換]でICCプロファイルを埋め込む方法としては、「ソースプロファイルとして埋め込む」方法と、「PDF/Xの出力インテントとして埋め込む」方法のいずれかを選択できます。

●複数の[色を置換]フィックスアップは割り当てられない

[色を置換]フィックスアップを割り当ているフィックスアップに、別の[色を置換]フィックスアップを割り当てようとすると、上記のようなアラートが表示されます。複数の[色を置換]フィックスアップを割り当てたい場合は、プリフライトプロファイルを複数回割り当てて実行するしかありません。

[変換設定]でオブジェクトの種類を指定する

[色を置換]機能においては、印刷工程ツールよりフィックスアップの方が優れているのは、[変換設定]で変換するカラースペースやオブジェクトの種類を選択することができるからでしょう。[変換設定]タブを開くと、[オブジェクト][カラー][変換][レンダリング設定]が用意されています。

[オブジェクト]ではカラー変換するオブジェクトの種類を選択できます。全ての画像、可逆圧縮された画像、非可逆圧縮された画像、ラインアート、テキスト、スムーズシェードに対して個別にカラー変換することができます。テキストとラインアート、スムーズシェードのみをフィックスアップでカラー変換し、画像のカラー変換は、TouchUpオブジェクトツールからPhotoshopで開いて変換するという使い分けも可能になります。

[カラー]ではカラーの変換方法を指定します。キャリブレーションされたカラーとキャリブレーションされていないカラー、特色を別々に指定できます。またそれぞれ、RGBとCMYK、グレースケールを選択して指定することができます。

[変換]では、選択したオブジェクトに対してカラー変換をするかどうかを指定します。変換する場合は「変換先に変換」を指定しますが、キャリブレーションカラーについては、「キャリブレーションを解除」を選択することで、埋め込まれたICCプロファイルを削除することができます。

Acrobat 8 Proのフィックスアップでは、印刷用PDFとして必要なオブジェクトデータの変換機能がいくつも用意されています。必要なフィックスアップを束ねて、プロファイルを実行すれば、印刷用として最適なPDFに変換することができます。

●[色を置換]の変換設定で[オブジェクト]を開く

フィックスアップの[色を置換]では、変換するオブジェクトを指定できます。指定したオブジェクトのみが変換する対象になります。印刷工程ツールの[色を置換]ではカラーを選択して変換することしかできませんでしたが、フィックスアップでは、オブジェクトの種類を選択することができます。

●[色を置換]の変換設定で[カラー]を開く

変換設定の[カラー]ではキャリブレーションカラーの違いだけでなく、特色の扱いも指定できます。[変換設定]を追加して、[カラー]を「特色」に[変換]を「変換先に変換」を選択すると、PDF内の特色は自動的にCMYKに変換されます。

●[色を置換]の変換設定で[変換]を開く

[変換]では選択したオブジェクトの「キャリブレーションを解除」したり、「変換先に変換」することを指定します。「変換先に変換」すると、[変換先]で指定したカラーに変換されます。

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上高地仁 ■上高地 仁プロフィール
1959年生まれ。印刷会社で十数年にわたり営業する。営業の傍ら、自らDTPのオペレータとなり、営業マンにもDTPの知識が必要なことを痛感する。現在はIllustratorやAcrobat、InDesignの生態を研究し、DTP最強のWebサイト「DTP-S」を主宰する。インクナブラ代表。最近のテーマはPDFとCTPとカラーマッチングを極めること。
主な著書に「標準DTP出力講座(翔泳社)」「標準DTP出力講座 フォント攻略編(翔泳社)」「Illustrator実践マスター(グラフィック社)」「DTPのデジタル印刷営業術(オーム社)」「DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド(毎日コミュニケーションズ)」がある。 インクナブラ発行の書籍として『Acrobat 7.0 ProでPDFを思い通りに出力する方法』『落とし穴に転落せずにWordから印刷用PDFを作成する方法』などがある。
●DTP-S(誰でもできるDTPのために)
http://www.incunabula.co.jp/dtp-s/
●DTP-Sブログ-ひねもすデジタルビヘイビア
http://dtp-s2.seesaa.net/

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